Discography

好きに生きたい。自由に生きていきたい。でも、そこにはリスクがある。デメリットのない自由などない。それが、好きなことにストイックに生きるということだ。

不自由だけど、好きなことに関わる時間は少ないけれど、保証と安心、安全は手に入る。好きなことはできないけれど、死なずにすむ。

反対に、好きにやっていくことは、サポート体制が弱く、不安定で、危険なことなのだ。Coffyは、サポート体制が弱く、不安定で危険な道を歩いている。

案内したのは、この私だ。

Coffyは、これまで長く勤めた会社を辞め。これまで経験のない音楽指導者としての道を選んだ。突然、サラリーマンから、個人経営者になったのだ。

彼は今、リスクを背負って音楽稼業をやっている。人生を音楽家として生きている。音楽で人を幸せにできないと生きていけない世界に身を置いている。

色気とは、リスクとデメリットをもったところから、生まれる。彼は変わった。

音楽に照れがなくなって、どんどんピュアなものに変わっている。自主制作の新しいアルバムは、自分を追い詰めすぎてトイレで血を出したり、ストーブで低温やけどすることもあったという。

彼は好きなことに真剣に関わることで、とことん追い詰められ。そして、苦悩することを選んだのだ。本当に好きでもないことで悩むのは、もうやめたのだ。

愛すべき音楽とドロドロした関係を結ぶことを選んだのだ。苦しみたくないから、好きなことをするのではなく、好きなことだから苦悩できる世界に身を置いた。

このアルバムは、Coffyという音楽愛好家だった男が、かつてないほどまでに真剣に音楽と向き合い職業音楽家としてのスタンスで完成させた最初の作品となっている。

聴いてくれる人がいる。待っている人がいる。聴かせたい人がいる。期待している人がいる。Coffyは、そうした人たちの顔を一人一人頭によぎらせ、レコーディングし、エンジニアリングした。自分を追い込み、悩み、クヨクヨしながら、完成させた。

トラック5曲目は、私のために書いてくれたのだという。他の何曲かだって、顔の浮かぶ誰かに描いてるのだと思う。彼の音楽は、実はとてもパーソナルな世界で紡がれているのだ。

また、どの歌詞も、自分以外の誰かとつながっていこうという意思を感じさせる。彼の頭に浮かぶ個人的な誰かに歌っている。

大丈夫つながっている。

大丈夫つながっている。

いろんなカタチで表現している。

つながっていこうと。

縁というものを大切にしているパーソナルな歌詞は、「今という環境をどのようにして作り上げてきたのか」という彼の人生観(テーマ)を反映させた結果なのかもしれない。

人を好きになるのって、とても難しいことだ。それを彼はカンタンにやることができる。自分が好きだと思うアーティストには、どんどん絡んでいく。そうやって、彼と私は仲良くなっていった。今では、三重と東京のお互いの家を行き来する仲になっている。

好きなことを好きだって言うことは、本当はリスクのあることだったりする。好きには、リスクがある。そのリスクを背負って作り上げた音楽に近づいている。

まだ照れは残されているけれど。Coffyの音楽は、どんどんピュアでストレートな音楽に近づいていっている。聴いた人は、好きなことで苦悩してる彼に嫉妬してほしい。

そして、「好きなことで」つながっているから、明日も頑張ろうって感じているcoffyの心に立ち会って聴いてみよう。